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雑談がメインで、ゲームのレビューや文章なんかも書いたりする弥太郎のブログです。
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 8月31日。
 つまるところ夏休みの最終日。
 それで、彼らはと言うと、たまりにたまった宿題に追われていた。
 原因は大きく分けるとふたつ。
 ひとつは、彼、葉山彰太自身がやや不真面目であること。
 彼にとって、小学生の頃から宿題は始業式前日に片付けるのが当たり前だった。
 そしてふたつ目。彼等の高校の生徒にしてみればこれが最大の原因、学園祭の準備である。
 彰太の恋人、湯浅由佳は学校の成績で言えば学年の中でもかなり上である。
 その彼女がこうして夏休みの最終日になっても彰太と共に机に向かっているのは、例に違わず学園祭の実行委員として活動していたからである。
「あー、くそ。なんつーか、あれだけ頑張ったってのに、その後に待ってるのがこれだもんな…嫌になるよ」
 こんな風に悪態をついている彰太自身も、学園祭実行委員のひとりだった。
「仕方ないですよ。夏休みの始めにやっておかないからですよ」
 今年は私も遊びすぎちゃいましたけどね。と付け足して再び視線をノートに向ける。
「はぁ…」
 真面目に机に向かう由佳に対して、彰太は大きく溜め息をついて机にアゴを乗せる。
「しっかりしてくださいよ、彰太先輩。先輩は受験勉強だって残ってるんですから」
 由佳に言われて、少しだけいじけたように顔を机に伏せる。
「まぁ、わかってるんだけどさ…」
 本当のところ、彼の心は揺れていた。
 この昭和という時代に、嫌気がさす。
 大学受験なんて、将来、就職を考えたときの踏み台でしかない。
 確かに、勉強して有名な大学に入れば、その後に控える就職に非常に有利になる。
 だが、それでよいのか。
 多くの大人達がこの町を捨てたように、自分もここを捨てるのか。
 彼は、この町が好きだった。彼にとっての故郷、それも理由のひとつである。しかし、それだけでもないことも確かだ。
 海辺の、海水浴くらいしか人の興味をひくものはなく、寂れた簡素な町。むしろ村と呼ばれるのが近しい感じの町であるが、それでも彼はここが好きだった。
 それは、由佳にしてみても同じらしい。
「うまくは言えないけど、やっぱり好き…なのかな。都会に出ていくのも、未開の地への冒険みたいに思えるけど…うん。ここも、やっぱりいいところだよ」
 一度、由佳に進路の相談をしてみた時に、彼女はこう言った。
 大学への進学。それはつまるところ大人に対しての建前だ。
 大学に進学する。そう言っていれば周りから白い目を向けられることもない。
 ただ適当に受験をして、そのまま地元で就職しよう。そう思っていた。
 彼は、ここぞというところや、人がやらないような、妙なことに対しては並々ならぬ努力をする人間だった。
 だからという訳ではないが、受験に対しての努力を自ら怠るこ
とに、怒りというか、彼にとって屈辱に似た感情を感じるものであった。
 自分で腹をくくったことなのに情けない。そう思いながら、長らく伏せた顔を上げてもう一度たまった宿題の山に目を向ける。
 高校を出てすぐに就職するのなら、大学は受けれない。だけど、
青春というノートがあと数ページで終わってしまうかと思うと、それはそれで急に切なくなる。
「なあ、由佳」
 ふいに声をかけてしまったのに気づき、慌てて話題を考える。
「もしも、さ。俺が浪人してもう一年頑張って、由佳と同じ大学に行くって言ったらどう思う。やっぱり怒るか」
 ふいに思いついた提案ながら、それもありか。と考える。
「だめですよ。それは私にとって嬉しいことではありますが、それを望むのは、私のわがままになっちゃいます」
 やや拒絶の色を示しながらも、それも何だか面白いですけどね。と付け足してくれたのは、彼の心を安堵させた。
「まあさ。なるようにしかならないよ。そうなった時はまた一年頑張るからさ」
「先輩の場合、それを狙ってやりそうです」
 間髪入れずそう返される。
 こうした、ここ最近のいつもの対話にも、なぜか安心してしまう。
 また今日も、繋がってる。皆との、由佳との絆。それを毎日噛み締めてはいるが、いざひとりになるととてつもなく不安になってしまう。
 自分は、こんなにも脆かっただろうか。色々と考えこんでしまう。
 その不安を払拭するかのように、鉛筆を取り難解な数学の問題に向かう。
「はは…明日からまた学校か。嫌んなるな…」
「先輩、それ口癖ですか。何もしないうちに嫌になっていたら何もできませんけど」
 間髪入れず、由佳に怒られた。
 もうすぐ、終わり。長くて短かった、楽しい夏休み。
 夏休みが終わってしまえば全部終わり。学年が違えば当然なかなか会えないし、また今までみたく集まることもできない。
(何だか、やるせないな…。こんな気分は初めてかもしれない…)
「ごめん、なんか勉強が捗らないからちょっとお菓子でも買ってくる」
 彼の人生で、おそらく初めて感じるであろう気持に少し照れて、それを隠すために家を飛び出した。

 







 どうも、ようやく始めることができました海唄‐UMIUTA‐の第1回です。
 今回はさわりの部分だけだったり、いきなり夏休みの最終日から始まったり、色々と分かりづらいところも多いかと思います。
 加えて言えば、まともに小説らしい小説を書いたことは実は初めてだったりします。
 今までは結構適当な文章を書いていましたが、大学生になったわけだしもう少ししっかりした話を書きたいと思ったのがこの作品をこういった方法で書き始めた理由になります。
 最近よく思うことですが、自分はかなりボキャ貧なんですね。ようするに、言葉を知らないのに知ってる言葉の中で書こうとするから安っぽいものしか書けないと。
 今後は暇な時間を見つけて日本語の勉強(18年生きてきて今更だけど・・・)なんかもちょくちょくやって、レベルの高い作品を書き上げたいと思います。
 
 「海唄」の次回更新は2週間後となります。
 さらに「Scarlet Cross」の再開の目途がようやく立ちましたので、来週はお休みですが、3週間後の4月30日、もしくは5月1日から再開します。
 ちょうどこの頃から、マイパソへのデータ移植とかホームページの移動なんかで更新が前後するかもしれませんが、基本的には毎週月曜に「海唄」と「Scarlet Cross」を隔週で更新することを目標にします。
 
 両作品とも長い話になりますが、この作品が最後には「書いていてよかった」と思える作品になることと、皆様が弥太郎とこの作品たちを末永くみ守ってくださることを祈って、今日はこの辺で。
 
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無題
これは舞台が『昭和時代』でいいのかな?
平成、ではなく敢えて昭和時代で進めていくのになにか思惑がありそうで期待してしまいますね。

そして最後の行の『気持』は誤字かな?w
しもつきん 2007/04/14(Sat)10:17:42 編集
時代背景とかのこと。
「海唄-UMIUTA-」を読んでいただいてありがとうございます。

時代背景ですが、正直、ごく最近でなければ昭和じゃなくてもよかったんです。

まぁ、昭和にした理由もありますが、それは最後に書かせていただきます。
【2007/04/16 12:04】
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